私達は、あの日の出来事を互いの心に秘めたまま数日を過ごしました。
二人とも、様々に巡る葛藤の想いを言葉にするすべを知らなかったのが理由のひとつです。
しかし一番の理由は、二度目の寝取られだからこそ、互いに変わらぬ夫婦の日常を確かめたかったからかも知れません。
あえて私から岩崎への連絡は避けていましたが、由香里には数回のメールが届いていたようです。
妻はそのことを私に打ち明けましたが、メールの内容について問いただすことはしませんでした。初めて岩崎に由香里を託した日から、彼女を信じる証として二人の間の連絡を許していたのです。
本当は、由香里に対する自分自身の心が揺れることに不安を感じていたのかも知れません。
そして、私のその姿が妻を苦しめ、やがては不信へと変わることを恐れていたのです。
それは、「見えない寝取られ」が続くような毎日でした。私は変わらぬ日常を装ったまま、由香里の姿に淫らな光景を重ね合わせ、日々の生活の中で彼女を凌辱していたのです。
台所で食事の準備をする姿…
私のシャツにアイロンをかける姿…
妻として家事を果たす由香里の姿と、岩崎の精を受け入れたあの夜の淫らな光景が絡み合い、狂おしい嫉妬が妻への想いを掻き毟ります。
繰り返し蘇る「見えない寝取られ」は、胸の内側をえぐりながら、罪深い昂りに包まれた高揚を煽るかのようでした。
一ヶ月前、妄想の中で求め続けた「理想の妻」が現実となってから、「新たな由香里」との生活が始まりました。
目の前で愛する妻を岩崎に寝取られた私は、理性の情愛で満たされる至福とは真逆の恍惚があることを知ってしまったのです。
今回の二度目は、そんな私が辿り着く必然の出来事でした。
私の中で、別れ際に岩崎が口にした言葉が蘇ります。
「由香里さんは、一度目は私を知らずに抱かれた… だけど二度目は知った上で抱かれた。この違いが分かりますか?」
私はその自信に満ちた岩崎の姿に、焦りに似た苛立ちを感じていました。
夫の理不尽な願望を満たすため、出会ったばかりの岩崎と結ばれた由香里…
彼が与えてくれた魔性の恍惚に引き寄せられるように、再び一夜を共に過ごした由香里…
岩崎の問いかけは、願望を叶えた代償を私一人で負う覚悟を求めたものでした。
償いの大きさに対する恐れを心の奥に押し込みながら、彼によって清楚な妻の封印を解かれ、貞淑と淫らが一つに交錯する理想の由香里を恍惚の眼差しで追い続けたのです。
>> 同じジャンルのブログ集(FC2ランキング)>> アダルト向けのブログ集(ADブログランキング)