電話の向こうから岩崎は、私の言葉が途切れた隙を狙うかのように、妻と交わる次の機会を求めました。
「また近いうち、奥様に会わせると約束してくれますね」
私は一瞬、躊躇いを感じました。岩崎の断定的な物言いを不快に感じたわけではなく、言葉の隅から漂う彼の自信が私を不安にしたのかも知れません。
「はい…、妻と相談してから連絡します」
電話で話す私の周りには誰もいないのに、心の中の後ろめたさが声を押し殺します。
「川島さん自身が出来るだけ早く再び会わせたいと思っているんですから、きっと近い日ですね」
「え?…」
私を見透かした岩崎の笑みが、言葉の端から伝わります。
「奥様の許しがあるなら、避妊の必要がない日に会いましょう。意味は判りますね…」
その瞬間、私は言葉が凍りつきました。
それは、あの光景を目の当たりにした時から湧き出た、私の新たな願望でもあるのです。
「失礼な言い方だったらお詫びします。気を悪くしないで下さい。」
「いいえ… 構いません… いいんです」
彼の言葉が引き金となり、私は自身に対する心の中のわだかまりを一気に言葉にしたのです。
「何か… 私は何か変なのでしょうか… あの日から、いえ、ずっと前から願っていたのかも… 他人が… 他人が自分の妻の中に… 」
声が上滑り、息苦しさに言葉が途切れます。舌が喉の奥で丸く固まり、震える声で絞り出すように心の中の葛藤を伝えたのです。
「他にも何人も知ってます… 川島さんと同じ願望を持っている人を… 川島さんだけじゃないんです」
自分の妻の中に他人が精を注ぐ…
他人の肉茎が妻の体を弄り、白濁の精液が愛おしい膣内を満たす…
私は既に妻を岩崎に差し出していながら、その行為に対してはまだ戸惑いを捨て切れていないのでした。
意図しない結果によるものではなく、明白な願いとして、他人による妻の膣内での吐精を望む自分自身の性癖を認めたくなかったのです。
夫としての理性…
妻からの侮蔑への恐れ…
自分自身にも判らない心の中を、平易な言葉に換えることは出来ません。
私は岩崎に対し、他人によるその行為を願う自分の性癖を告白しました。
「寝取られや夫婦交換に惹かれる男の半分は、相手が自分の奥様へ中出しすることを拒みはしますよ。ですが… 」
彼は意味あり気な間を置いてから、言葉を続けます。
「残りの半分の方は、他人による中出しに執着します。実際の行為とするか否かは、奥様に対する罪悪感の違いだけです… 」
「私には罪悪感が無いのかも知れませんね…」
「いえ、逆です。罪悪感の強い人ほど、他人が奥様の中へ射精することを望むんです… 愛する奥様への強い執着が、自分でも認めたくない性癖になるんです」
電話での岩崎は、私を諭すように間を置き、ゆっくりと話しを続けました。
「川島さんの願望は、あの喫茶店で話した時から判ってましたよ… ですから、隠さなくていいんですよ。願いを叶えるのに遠回りなだけですから」
私はこの時に、妻の体内までを岩崎に委ねる覚悟をしたのかも知れません。
そして、この先も新たに芽生えるであろう私の不貞の欲望に対し、彼を妻の相手とすることを心の中で確信したのです。
妻だけでなく、夫である私までもが岩崎の意図に従うように、妖艶な官能の奥深くへと引き込まれていったのです。
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