週半ばの夜、岩崎の面影から由香里を取り戻すかのように、私は激しく妻を愛しました。様々な想いのたぎる熱い茎で彼女の秘奥を貫き、愛液にまみれた温もりを貪ったのです。
他人の痕跡が消え去った筈の由香里…
夫である私の「葛藤」を受け入れ、艶かしい粘液で包み込んでくれる愛おしい妻…
私は身悶える由香里だけを見つめ、岩崎の姿が脳裏に浮かぶことを拒みました。
今のひと時は私達夫婦だけの夜…
誰にも邪魔されたくない…
浅はかな私を嘲るように、もう一人の私自身が自虐の囁きを繰り返します。
由香里は暗がりの中であの男に抱かれ、互いに結ばれながら身悶えた淫らな妻…
声を押し殺し、生身の射精を注がれる眩い悦楽に体を捩らせた妻…
残酷なまでに艶かしく美しい理想を見つめたまま、禁忌の自慰が与えてくれる恍惚に酔いしれたあの夜の記憶が蘇ります。私は背徳への誘惑に誘われるように声を上擦らせ、妻を凌辱する言葉を口にしたのです。
岩崎だと思って…
今、体の中に入っているのが岩崎だと思って…
体の中心を突き抜ける恍惚に震えながら、あの男が果てたのと同じ蜜壺の中で私自身の精を放ちました。
締め付けるように縮動する膣壁に嫉妬し、耳元に届く由香里の喘ぎに心を掻き毟られながら、溢れ出る白濁の液で妻を犯したのです。
駆け巡る光彩の中で最後の脈動が尽きたのち、私はゆっくりと由香里の傍に崩れ落ちました。それはまるで、極みの頂上から暗がりの底へ、至福の抜け殻となって沈んでいくようでした。
全てが遠くにあるような幻覚に包まれ、私は深い眠りの奥へと落ちていったのです。
螺旋となって絡み合う幻覚が、幾つもの短い夢となって私の中を漂います。
息苦しい暗闇の地平線をさまよう眠りから意識が覚めたのは、数時間の時が経た後でした。
仰向けに横たわった私と由香里の体の上には布団がかけられています。欲望を一方的に満たしたまま眠りに落ちた自分の身勝手さを悔いながら、傍らで眠る妻の横顔を見つめました。
私は変わらぬ現実が何事もなく続いていることに安心しながら、再び睡魔が訪れるのを待ったのです。
ふと、私の腕に触れる由香里の体温が、いつになく高いことに気付きました。まるで風邪でもひいたような、体の奥から火照る熱さです。
私は眠ったままを装い、静かに息を潜めて由香里の様子をうかがいました。
彼女の手が自分自身の下腹部へと伸び、ゆっくりとした動きを続けていたのです。暗がりの中でありながら、枕を並べた隣にいる私には、その指先の這いずりが微かに伝わってきます。
妻は時折、両脚を真っ直ぐに伸ばし、体を少しずつ弓なりに反らすと、小刻みな痙攣に体を震わせました。
それは、あまりにも艶かしい妻の自慰でした。熱い吐息が、その音を押し殺しながらも、堪え切れずにゆっくりと漏れ聞こえます。
由香里… どうして…… 私が側にいるのに……
私は恥辱に満ちた現実を認めることが出来ませんでした。妻が自慰をするなどとは思ってもいなかったのです。
きっと何かの間違いだ…
由香里は悪い夢を見ながらうなされているだけだ…
私の浅はかな否定はあまりにも虚しいものでした。
由香里のもう一方の手が乳房に重なり、柔らかな動きを繰り返します。妻の体を包む熱は更に高まり、薄っすらとした汗ばみが肌を漂っていました。
私は真横の由香里へ顔を向けることも出来ず、気配を消し去るように息を止めているしかなかったのです。
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