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交わりの証【01】

私はその夜、眠りと覚醒の合間を何度も行き来しました。

由香里の姿を夢の中で追い、目が覚めては彼女を想うことを幾度も繰り返していたのです。
気が付いたときは、朝の7時を過ぎた頃でした。

熱いシャワーを浴びて乾いた汗を洗い流し、徐々に自分自身を取り戻しました。

濡れた髪を乾かしながら、部屋の電話が鳴るのではと、何度も受話器を見つめたのです。

妻はどんな気持ちで朝を迎えたのだろう…
私が由香里を想うように、彼女も私の姿を夢の中で求めたのだろうか…
それとも、岩崎のことだけしか心の中になかったのだろうか…

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無音の電話を見つめながら、様々な感情が駆けめぐり、胸騒ぎに似た焦燥が胸を締め付けます。

何をいまさら…

自分自身に向けたその言葉が、少しずつ私を落ち着かせました。

もちろん、後悔はありませんでした。
むしろ、妻が目の前で他人と交わる姿に対し、歯止めを失う程に魅せられることへの恐れを感じていたのかも知れません。

他人と朝を迎えた妻に会いたい…
会って、彼女の中で私の存在が変わっていないことを確かめたい…

妻からの連絡がないことへの疎外感が、その想いをより強くしたのでしょう。
私は何かに駆り立てられるように身支度を整え、部屋を出ました。

昨日までの由香里を愛しながらも、娼婦のような昨夜の美しさに惹かれながら…

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交わりの証【02】

私はドアを小さくノックしました。もし、まだ二人が眠っているのなら、そのままにしておきたかったのです。

暫くすると、ノックした相手を確かめるかのように扉が僅かに開きました。
由香里でした。

既に彼女は衣服を整え、昨夜のチェックイン前と変わらぬ姿に身支度を済ませていたのです。

「ずいぶん早起きだね…」
「もう7時半だよ…」

由香里は笑みを浮かべながらも、気まずそうに目線を伏せました。
私は思わず立ったまま彼女を抱き締めたのです。
そのことが少しでも彼女の気持ちを楽に出来ればという気持ちはありました。
ですが、それ以上に妻が愛おしく、両腕の中で彼女の存在を確かめたかったのかも知れません。

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部屋の奥から岩崎が出てきました。彼も既に身支度を整えています。

「奥様と二人の時間を下さってありがとうございます。由香里さんといつも一緒にいれる川島さんが… 心から妬ましいです…」

私は無言のまま顔を伏せました。妻を他人へ差し出した一夜への想いが込み上げる私には、岩崎に言葉を返すだけの余裕がなかったのです。

「また奥様とお会い出来る機会を下さい…」

私は由香里の顔を見つめました。妻の表情から、既に岩崎と次回の約束を済ませていることは明白でした。それが彼女と岩崎が満ち足りた夜を過ごしたことの証ならば、私が拒む理由などありません。

岩崎からの願いに、私は無言のまま頷きました。

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「チェックアウトまで時間がありますから… 川島さんは奥様と二人だけで、もう少しゆっくりされてはいかがですか。」

岩崎はそう言うと、傍らにいる妻に向かって小声で何かを伝えました。

「じゃあ… 地下の駐車場まで岩崎さんを送っていくから…」

私にとっては、そのことすらも予め二人で約束していたことのように思えました。妻と岩崎が交わす互いの目線が、他人の壁を超えたものであることを察したからです。
言いようの無い疎外感が私を焦らせます。

私の目の前で愛し合い、二人だけの一夜を過ごした男と女がドアの向こうに消えていく姿を、部屋の真ん中に立ったまま無言で見つめたのです。

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交わりの証【03】

再び一人だけになった部屋の中で、孤独の時間が過ぎるのを待ち続けました。

ベットはきちんと整えられ、張り詰めたシーツと並んだ二つの枕からは、妻と岩崎が交わった痕跡は微塵もありません。全て、妻が消し去ったのです。

私への気遣いからなのか、それとも恥じらいの気持ちからなのか…

妻を想いながら隣室で一夜の時を過ごした私にとって、逆に交わりの証こそが慰めになることなど、彼女にとっては思いもよらないことなのでしょう。



私はベットの傍らにある屑籠に手を伸ばしました。
上には数枚のティッシュが載せられ、奥にある「痕跡」が私の目に触れないように隠されています。

そのことが一層、私の嫉妬と焦燥を掻き立てたのです。
経験したことのない屈折した感情が、私を突き動かしました。
それは、妻を他人へ差し出す以上におぞましい行為… 妻と他人が結ばれた淫らな跡を求める醜悪な行為だったのです。

私は屑籠の中から、幾重にも折り畳まれたティッシュを掴みました。たどたどしい指先でそれを開き、中にある淡いピンクの避妊具を手に取ったのです。

中には濃厚な白濁液が注がれ、零れた滴がティッシュに深く染み込んでいました。
妻は、この精液の脈動を膣の中で感じ、淫らな喘ぎを漏らしたのです。



昨夜、私の目の前で、岩崎が避妊具の中の精液を妻の口内に垂らした、あの光景が蘇ります。

満ち足りた表情でそれを受け入れ、愛おしむように粘液を舌に絡めた由香里…
他人の欲望の果てを味わいながら、その直後に夫とも交わる淫らな妻…

私の手のひらにある避妊具は、岩崎によって妻の中に封じ込められていた何かが解き放たれた証でもあるのです。

妻に対して放たれた精の白い香りが、私の呼吸を次第に荒げました。秘めた願望が叶ったことへの満ち足りた気持ちと、妻の変化への期待と恐れが私の中で交錯します。

いっそ、この精液を妻の膣奥に注いで欲しかった…
妻の秘部から零れる白濁の滴りが見たかった…

満たされた願いは、連鎖する新たな願望となって私の奥に芽生えたのです。

早まる脈の鼓動が、やがて私の下腹部の茎を上へと押し上げます。

妻だって本当はそれを望んでいた筈だ…
由香里は岩崎の精を子宮の奥に浴びたいと願っているんだ…

一夜の満たしは、やがて果ての無い次への欲となって、私をその先へと誘うのです。

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プロフィール

川島 ゆきひと

Author:川島 ゆきひと
夫である私の見ている前で他人と体を重ね合わせ、すべてを受け入れる妻の姿…
夫である私にすらまだ見せたことのない露わな妻の姿…

30代になった私たちが寝取られや夫婦交換で体験した様々な出来事、いろんな方との出会いを、このブログに書きたいと思います。

私の詳しいプロフィールについては、こちらをどうぞ








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