部屋をノックする音で私は反射的に立ち上がりました。妻の緊張した表情を見下ろしながら髪を撫でた後、狭い通路の先にあるドアの前に立ちました。
まるで、今までの日常とは違う世界への扉を開けるような想いで、ドアのノブを回したのです。
白のバスローブに着替えた岩崎が、手に小さな紙袋を持ったまま立っていました。
不意に合った目線を慌てて反らしながら、彼を部屋の中に招き入れました。
「自分の部屋にいる間中、奥さんの可愛いらしさを何度も想い返していましたよ。川島さんは幸せ者ですよね」
岩崎の言葉に、妻は一瞬の笑みを浮かべて小さく首を振りました。
「本当ですよ。だから川島さんの気持ちも判るんです。奥さんを他人に自慢したくなる気持ちが。男のエゴかも知れませんね」
岩崎は、私の心中を言い当てるつもりはなかったのでしょう。必死に理性を胸の奥深くに封じ込めようとしている妻の姿を見て、彼女が最も縋りやすい「言い訳」を与えただけなのかも。
「普通は始める前に、三人で軽くワインでも飲んで、気持ちを落ち着けてから… なのかも知れませんが、それはかえって奥さんには酷ですよね」
岩崎は私達が座っているベットの隣の、もう一つのベットに座ると、私達を交互に見つめながら言葉を続けました。
「川島さん、今から奥さんを私にお渡し下さい」
今更、選択を迷う余地などありません。
「妻を… 愛してあげて下さい… 全て岩崎さんにお任せします」
私は妻の手をとって岩崎の隣りに座らせました。
一瞬、生唾を飲み込む彼女の喉が動きました。
「私と奥さんが愛しあっている間は、川島さんはそのベットから離れてはいけません。今から由香里さんは私のものです」
「私はその間… 何を…」
「そのベットの上は川島さんの自由です」
岩崎は言葉を続けました。
「私達二人を見ながらなら… 川島さんが一人でどんな恥ずかしい行為をしても、奥さんはきっと理解してくれます」
そう言うと、岩崎は持ってきた小さな紙袋を私に手渡しました。中には透明なプラスチックの小瓶のラブローションが入っていたのです。
「無理に我慢せず、気持ちが高ぶったら奥さんの姿を見つめながら自慰して下さい。恥ずかしいことじゃないですから。川島さんが今まで待ち続けた、奥さんの最も美しい姿を見るんですから…」
私は岩崎の言葉を素直に受け入れることが出来ました。
それは、私の理不尽な願いを許し、夫の見ている前で岩崎と交わる妻の心に報いることでもあるのですから。
由香里… 今まで欲しかった本当の姿を見せて…
お前を愛する夫は、どんな由香里の姿でも受け入れるから…
岩崎の言葉は、まるで私の足枷を外してくれたかのようでした。小瓶の封を開けてから体をゆっくりと横にし、隣りのベットの脇にいる二人を見つめたのです。
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