朝の日に照らされて私が目を覚ました時、由香里は既に着替えを済ませていました。居間の窓際にある椅子に座ったまま、早朝の海を独りで眺めていたのです。
もしかしたら、何を見るでもなく、ぼんやりと窓の外に顔を向けていただけなのかも知れません。外から差し込む朝の光が、由香里の肌の輪郭を金色に染めています。
彼女は私が起きたことに気付くと、小さな声で「おはよう」とだけ言いました。
「岩崎は?」
「大浴場に行った… 今なら誰もいないからって… 朝のお風呂が好きなんだって」
朝風呂か…
湯に入りながら、心ゆくまで人の妻を味わった至福に浸かっているのか…
妻の姿には、あの淫らな一夜の面影はありません。淡い清楚な色使いの衣服を装う由香里は、私が傍らで目にした微かな灯りの中の妻とは思えなかったのです。
背徳にまみれた暗がりの中での出来事を、彼女は自分の目にも触れない場所に隠そうとしているのでしょうか。
しかし、夫である私は、彼女の体の奥深くに他人の精液が宿されていることを知っています。
岩崎の舌が這いずった妻の愛おしい肌…
彼の深く抉れた亀頭に弄ばれ、それを私が見ている前で受け入れた妻…
暗闇の中で見た場面を重ね合わせながら、窓際の朝日に包まれた由香里に近付きました。一瞬、彼女の表情に怯えた緊張が浮かびます。
私は無言で妻を抱き締めました。
由香里がいつものままであることを確かめようと、首筋や胸に顔を埋めたのです。
妻の香り…
いつものままの由香里…
微かに鼻腔を漂う甘い香りが、媚薬のように私の心を掻きむしり、嫉妬を煽り立てます。
体の奥に残る昨夜の痕跡を求めてスカートの中に入れた手を、由香里は両脚を閉じて拒みました。
私の前で他人と愛し合った妻…
夫の理不尽な願望を叶えてくれた妻…
私は鞄からカメラを取り出すと、由香里の手を引いて寝室の布団の上に横たえたのです。
私の前にいる妻の中に、岩崎の精が溶け入っている…
たとえシャワーで洗い流しても、決してその全てを消すことなど出来ないんだ…
妻の姿は、まさに私が求め続けた理想そのものでした。
由香里 写真に撮らせて…
他人と愛し合ったシーツの上で、偽りの清楚を纏う姿を写真に残したいんだ…
決して妻を辱める気持ちからではありませんでした。
他人の一夜妻から私の妻に変わりゆく理想の姿を、永遠に写真として残したかったのです。
私は妻のブラウスのボタンを半分だけ外し、片方の肩が見えるように襟をはだけ、スカートのファスナーを下ろしました。
私の理想を引き立たせる演出…
乱れた着衣を纏いながら、前夜の余韻が残るシーツの上に横たわる妻…
それは、あるがままの由香里に私が手を加えた「作品」だったのかも知れません。
床の間に飾られた生花のように、本来の美しさを引き立てるために人の意思と思惑が注がれた姿なのです。
昨夜の出来事が私を苛む時、きっとこの写真の中の由香里が慰めてくれる…
独りで由香里を想う夜、この写真で束の間の至福に浸れる…
戸惑いの表情を浮かべながらカメラから目を反らす妻に向け、私は続けざまに何度もシャッターを押したのです。
>> 同じジャンルのブログ集(FC2ランキング)>> アダルト向けのブログ集(ADブログランキング)