上に重なる由香里の姿を見つめながら、私は自分自身が仕組んだ自虐の恍惚に心を昂らせました。
妻は岩崎を想い、漂うようにゆっくりと体を上下に動かします。彼女にとって、今、膣壁をなぞる亀頭の抉れは夫である私のものではなく、一夜の妻として共に過ごしたあの男の幻なのです。
由香里は私の上で下腹部を少しずつ浮かせました。亀頭が膣口から出る寸前で動きを止めると、ゆっくりと膝の力を抜きながら体を下ろし、反り返る茎が再び膣奥に押し入る悦楽に身を捩らせたのです。
それは、岩崎に貫かれる眩い瞬間を、夢想の中で幾度も繰り返し求める罪深い姿でした。
私の茎に纏わり付く艶めかしい愛の液は、妻が他人を迎え入れるための禁忌の潤い…
岩崎の強張りを慈しみ、快楽の果てへと誘う至極の粘液…
私は嫉妬にまみれた情愛を必死に押さえ、罪深い夢想で描かれた「妻の自慰」に、生身の性具である肉茎を与えたのです。
夫である自分の存在を打ち消し、込み上げる被虐の苛みに堪えながら、愛する妻が恍惚に浸る姿を見つめ続けました。
身を裂かれる程に愛おしく美しい妻…
他人の手によって艶めかしい輝きを身に纏う妻…
今まで繰り返してきた日常を引き換えにして、私は理想の由香里を手に入れました。岩崎が与えてくれた鍵を使い、開けてはならない扉の向こう側を知ってしまったのです。
そのような私の前に今、また一枚の扉が現れました。
それは、私の手から愛する妻を解き放つこと… 由香里と岩崎だけの時を二人に与えることでした。
伊豆の夜でも二人だけの時間はありましたが、もし私が途中で耐え切れなくなって間に割り入ろうとすれば出来たことでした。私は自分自身の意思が届く範囲の中で、由香里と岩崎を二人だけにしたのです。
今夜、妻が打ち明けた岩崎からの要求は、彼が私の手から由香里を切り離し、望むがままにその体を味わうこと… 夫の妬みや葛藤の届かない場所で妻の全てを支配し、夫婦の絆を嘲るような狂おしい茎で由香里を思うままに弄ぶつもりなのです。
由香里は何故、岩崎からの求めを私に告白したんだ…
彼の望みを断り、胸の奥にしまい込むことも出来たはずなのに…
岩崎が今までのように次回の連絡を私に対して告げるのではなく、妻を通じて伝えてきたことは何を意味するのでしょう。愚かな私が見落とした新たな変化が二人の間に生まれているのでしょうか。
自分が企てた罠に、あえて自分自身を絡め取らせるつもりが、内側にもう一つの罠を岩崎によって仕組まれたのかも知れません。もしかしたら、本当は岩崎ではなく由香里が望んだことなのかも… 妻でありながら、夫の願いを叶えるために他人に愛される姿を晒した背徳への仕返しなのでしょうか。
この時の私は、妻に対して抱く言いようのない不安と猜疑心によって、自分自身の心の焦燥が得体の知れない恍惚へ繋がっていることに気付いていませんでした。
由香里の美しさを彩るために必要なものなら、どのような手段を使っても手に入れたい…
妻が男に抱かれることで願いが遂げられるなら、身を切る思いで他人に貸し与えてもいい…
由香里の乱れた息に混じりいる淫らな喘ぎを耳元に受けながら、岩崎の茎で愛された彼女の膣を幾度も貫き続けました。
あの夜、私の傍らで彼の精を注がれた妻の姿を想い返すのは何度目でしょう。
薄っすらと紅潮した秘部の谷間から垂れ落ちる白濁液の美しさは、他人によって妻が愛された残酷な証です。
あの時と同じように由香里を愛して欲しい…
離れた場所で妻に恋い焦がれる私を嘲りながら、熱い迸りで彼女の心を満たして欲しい…
私は重なり合う由香里を見つめたまま、岩崎へ託した願いを心の中で繰り返したのです。
私の茎を包む愛液は、妻が岩崎を想いながら滴らせる禁忌の潤いであることを知っているのに、私は込み上げる吐精への誘惑を堪えることが出来ませんでした。
揺れる乳房を手で弄り、下腹部を震わせながら妻の秘奥を白い精で塗り染めたのです。由香里にとって夫の呆気ない果ては、悦楽への極みを満たし切れないものだったかも知れません。
ゆっくりと現実に引き戻される妻が、私と目を合わせることを避けているように思えました。
それは岩崎に引け目を抱える私の思い込みでしょうか。あるいは私の中に巣食う劣等感がそう思わせるのでしょうか。
いずれまた、岩崎に妻を差し出す日が訪れます。
私と由香里は其々の想いを秘かに抱きながら、約束の日が来るまでの時を日常の中で過ごすのです。
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