初冬の寒さに包まれた和室の中に、一夜の夫婦が性の交りを終えた息遣いが漂います。私はその傍らで、自慰で果てた虚しい温もりで手を濡らしたまま、偽りの眠りで気配を消し去ることしか許されていないのです。
私は熱く火照る体に汗を浮かべたまま、指の間を滴る精がシーツに溢れないように押さえ続けていました。
由香里は枕元のテイッシュを取り、仰向けに崩れ落ちた岩崎の下腹部に愛しみを込めて手を添えます。
男は妻の背中に腕を回し、自分の胸元へと抱き寄せました。互いの唇を重ね合わせ、舌を絡めながら情事の余韻に浸っているのです。
由香里は体内に注がれた岩崎の温もりを膣奥に宿したまま、その身の全てを彼に委ねるかのように寄り添います。
互いへの想いをつのらせ、願いを遂げた至福を確かめ合う二人の姿…
ゆっくりと男の精が由香里の中に溶け入るひと時を分かち合うかのように…
至福に浸る二人の微かな囁きが、逃げ場の無い私を苛みます。人の妻でありながら、女としての悦びを与えてくれた岩崎に対する由香里の想いが、繰り返される甘い吐息の中に混じり入るかのようでした。
やがて二人は傍らの浴衣を取り、静かに袖を通します。
ゆっくりと立ち上がり、私の方を一度だけ振り返ると、そのまま物音を立てないように寄り添いながら部屋から出て行ったのです。
きっと階下の露天風呂に行ったのだろう…
誰もいない混浴の湯の中で、一夜の残りを惜しみながら肌を温め合うのだろうか…
乾き切った虚脱感が重苦しく覆い被さります。
私は誰もいない部屋の中で、二人が愛し合ったばかりのシーツの上に体を横たわらせました。
この白い布の上で、愛する由香里の秘部を岩崎の肉茎で貫かれた…
他人の精が妻に注がれる瞬間を、息を潜めて見つめるしかなかった…
私は枕元の屑籠の中から精の染みたテイッシュを取り出すと、迷いと躊躇いを封じながら顔に近づけたのです。
青白く淡い香りが鼻腔の奥に漂います。他人が妻の体内に放った精の証が、まるで私を恍惚の自虐へと誘うようです。
今、由香里の子宮はこの精で満たされている…
時間とともに、少しずつ妻の体に染み込んでいく…
僅か前に吐精したばかりの私の茎は、妻を想いながら狂おしく火照り、残液に濡れ光る亀頭を膨らませます。
由香里… 今夜の出来事で決して嫌いになったりはしないから…
だから由香里も私の行為を蔑んだりしないで…
私は妻が愛された香りを深く吸い込むと、二人が結ばれたシーツの上で茎を握り締め、その手を激しく動かしたのです。それは私にとって、由香里に見られてはならない恥辱に満ちた禁忌の悦びでした。
陶酔の中で私は、精と同化する由香里の姿を夢想しながら果てました。
縮動する強張りから、生暖かな滴りが連なるように零れ落ちます。
岩崎の嘲りが聞こえる快楽の海に溺れ、被虐の波間に沈みながら、遠のく由香里を愛し続けたのです。
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