「川島さん 今日からはまた、私があなたを羨むんですね」
閉ざされた部屋の中で夜を耐え続けた私にとって、岩崎のその言葉で報われる葛藤はどれ程のものなのでしょう。
例え一夜の出来事であっても、私が目にしたあの光景は、これからも幾度となく記憶の中で蘇るのです。
岩崎の精液が注がれる由香里の姿…
他人によって私だけの由香里がより美しく染められた一夜の出来事…
妻に対する背徳の願いがまた一つ叶えられた悦びとともに、私は心の中に刻まれた彼女の姿を愛し続けます。その時、胸を引き裂く自虐の葛藤に対して、今の岩崎の言葉が僅かながらの慰めとなるのでしょうか。
私は妻の手を取り、外とを隔てる戸を開けました。
部屋の脇にある露天の内湯は、低い竹垣で周りを囲まれ、冷えきった空気の中で湯けむりのベールを纏うかのようです。
隙間から見える海の水平線上に、昇ったばかりの陽が幾条もの光輝を放ちながら、周りの全てを照らしていました。
私と由香里だけの湯…
漂う白い湯気が、由香里の肌を撫でるように包みます。私は妻の体に手を添え、湯船に足を踏み入れました。
目を刺すように眩しい妻の裸体が、透明な湯の中で揺れ動きます。私は少し離れて彼女の姿を見つめました。
由香里は学生時代に、アルバイトで旅行会社のパンフレットのモデルをしていたんだ…
温泉での入浴シーンは、写真に写らないように水着を身に付けていたって言ってたな…
妻でありながら他人に愛され、その翌朝に夫と二人で温泉に入るなんて、その時は思いもしなかったろうな…
結婚前に見せてもらったパンフレットの中の由香里と、時を隔てて目の前にいる彼女の姿に変わりは有りません。
むしろ美しい体は女としての艶やかさを増し、これからも私の求める妻としての理想を叶え続けてくれるのです。
由香里が他人と重なり合い、深く結ばれ合っても永遠に私だけの妻…
由香里の体で満たされた他人の欲望が、彼女の美しさをさらに鮮やかに彩っているんだ…
湯に濡れた妻の肌に見とれながら、様々な想いが交錯します。
きっと岩崎は部屋の中から私達を見ているのでしょう。
私は彼が他人の妻を寝取った悦びに浸りながらも、由香里に対する未練に苛まれていることを心の中で願ったのです。
岩崎はあくまで通りすがりの他人…
私と由香里をより強く結び付けるための脇役…
決して主役の私に代わる存在ではないんだ…
私は湯の中から立ち上がり、由香里の側に歩み寄りました。
下腹部から反り返る茎を彼女の顔の前に突き出し、刹那の夜を耐え抜いた情愛への癒しを目で訴えたのです。
硬く強張る茎を舌で確かめて欲しい…
あの身を切るような光景を目の当たりにしても、由香里に対する想いに変わりがない事を…
しかし、妻は顔を伏せ、その唇が先端に触れることを拒んだのです。
岩崎が見ているんだ…
私の妻であることの証を彼に見せて欲しいんだ…
焦りが私を衝動的な行為に駆り立てます。由香里の頭に後ろから手を添え、先走りの汁に塗れた亀頭を口内に押し込もうとしたのです。
ゆ… 由香里…
どうして?… 岩崎が見ているからなのか?…
背徳の行為を悔やんでいるのなら、それは全て私が負うべきことなんだ…
妻は閉ざした唇を開こうとはしませんでした。
私は焦燥の脈で張り裂けそうな茎を火照らせたまま、顔を背ける由香里を茫然と見下ろしたのです。
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