私は写真を撮り終えると、背を向けたまま着衣の乱れを直す由香里の耳元に顔を近づけました。
「暗い中でずっと想っていたよ… 今までの由香里と、岩崎に抱かれる由香里の両方をずっと…」
彼女は私から目を逸らしたまま、小さく頷きます。
襖の間から覗いた他人と交わる妻の姿…
夫の傍らで、息を押し殺したまま他人の茎に貫かれる妻の姿…
昨夜、闇の中で目にした出来事が、由香里に対する慈しみと情愛となって私の中を巡ります。
他人の精が妻を美しくする…
妻を内側から妖しい輝きで包んでくれる…
私が秘め続けた理想は、罪深い程に美しかった…
もしかしたら、私はそう信じることで、心の隅に残ったままの不安と恐れを打ち消そうとしたのでしょうか。
由香里が岩崎と結ばれながら注がれた精の温もりは、彼女の記憶の中で永遠に残るのかも知れません。
私はそれを受け入れ、この後も妻を愛し続けるのです。
手に入れた理想と引き換えに負う代償との狭間で、嫉妬と妬みに苛まれる日々への覚悟は出来ている筈なのです。
それでもまだ、私の中に葛藤があるのでしょうか。
私達夫婦は、岩崎との間での行為を永遠の秘め事としなくてはなりません。決して明かすことの出来ない背徳の罪を、心の中に負わなくてはならないのです。
ですが、それは全て私だけが受け入れれば充分な筈 夫の願望に従っただけの由香里に罪は無いのです。
だからこそ、今まで以上に由香里を愛したい…
妻には決して悲しい想いをさせたりしない…
それは由香里に対してだけでなく、私自身に課した約束でもありました。
他人の精が溶け込む愛おしい妻に、息苦しい程の情念が込み上がります。
清楚と不貞が混じり合う理想の妻が、果ての無い欲望の園へと私を招くかのようでした。
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