夕方、仕事が終わると、まっすぐに会社の近くにあるスタンドコーヒーに入りました。
周りは大勢の客の話し声でざわめいていましたが、私はやっと独りになれた安堵感からか、カフェラテを一気に喉へ流し込んだのです。
冷たい苦みが、いつもの落ち着きを取り戻してくれるようでした。
鞄の中に突っ込んだ岩崎の名刺を取り出し、これからの事を思案しながらぼんやりと眺めました。
とりあえず、電話で昨日の礼を言おう…
それ自体は当たり前のこと、何も特別なことじゃない…
電話番号を途中まで入れた時、ふと指が止まりました。
いっそ、岩崎に会ってみよう。後のことはその時に考える…
私には、岩崎に会うこと自体が大きな賭けに思えました。
扉を開けるきっかけになるのか、あるいは、元に戻れない落とし穴に自分で足を踏み下ろすのか…
いずれにしても、退路がまだあるうちは前に進もうと、自分なりの決心をしたのです。
コーヒー店を出ると、仕事帰りのサラリーマンやOLで賑わう通りをぬけ、足早に駅へと向かいました。
通勤時とは違う電車の色や途中の通過駅に、普段とは異なる行動を取っている自分自身を感じていました。
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