「そのような願望は、決して恥ずかしいことじゃないですから」
岩崎の言葉に促されるように、今まで誰にも打ち明れず抑圧されたままの私の性癖が、言葉として口から出ました。
「殆ど初対面のような岩崎さんに、こんな話しをするのは非常識だとは思います。ですが…」
彼は表情を変えずに私の目を見ています。
「実は…、誰かに私の妻を… 妻を抱いて欲しいんです」
私はうつむいたまま、言葉を続けました。
「他人に愛される妻の姿が見たいのです…」
知らぬ間に口の中は渇き、心臓の鼓動に合わせるように額が汗ばんできました。
「私の見ている前で、妻を抱きしめ、愛して頂けますか」
最後の方は、唇が震えて声がかすれる程でした。
ですが、今まで封印していた禁断の願望を、やっと他人に打ち明けることの出来た安堵感が体を包み込んだのです。
岩崎は私の自白が終わるのを待ってから、煙草に火を付けました。
「そういう奥さんの愛し方もあるんです」
装飾のない短い岩崎の言葉が、長い間行き場を失っていた私を救ってくれた気がしました。
私はカップに残っている冷めたコーヒーを、一気に口に流し込みました。
「殆ど初対面に近い私だからこそ、打ち明ける気になられたんでしょ。それに、少しは私を信頼してくれた。礼を言います」
私は、力の抜けた漂うような目線で、二本目の煙草に火を付ける岩崎の手元を眺めていました。愛する妻と交わる彼の姿が、頭の中の霧にぼんやりと浮かび上がったのです。
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