妻への告白の言葉が見つからないまま、私にとって無意味な数日が過ぎました。
会話の途中で時々、何かを思い詰めるかのように無口になる私を妻は怪訝に思い、その訳を訪ねようとしますが、普段通りであることを強調して、その場を誤魔化すこともあったのです。
ある日曜日の夜、妻が夕食の準備をしながら、とりとめも無い世間話をしていました。会社のことや親戚のこと、芸能界の話題などです。
その中に、妻の友人が夫の浮気に悩まされ、来月からしばらく別居することになった話がありました。
他の話題には無関心だったのに、妻の友人の別居話にだけは反応した私に対して、妻は悪意の無い冗談混じりの口調で「もしかして、意外とあなたも浮気してたりしてね」とからかいました。
その瞬間、私の背中を何かが前に突き出すように押したのです。あるいは、何かのせいにして私自身が後先を考えずに踏み出したのかも知れません。
「そう言う由香里は浮気してないの? 最近、会社からの帰りも遅いし、メールの返事が来ないこともあるし」
もちろん、私は妻が浮気をしているなどとは微塵も思っていませんでした。
にもかかわらず私が発した言葉は、出口の見えない板挟みの苦しみを終わりするため、妻に願望を打ち明ける引き金にしたからなのです。何の計画も策略も無い、突発的な言葉でした。
「何言ってるの、してるわけ無いじゃない」
妻は、冗談に対する私からの切り返しが、予想に反してシリアスな響きを含んでいることに少し戸惑っていました。
「そうか、でも他の男に興味ぐらいはあるだろ。会社にだっていろんな男はいるんだし」
妻を疑っているわけでも、傷つけるつもりも全く無いのに、私自身の欲望を叶えるための踏み台として選んだ残酷な言葉でした。
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