私と岩崎との企ては、それからまだ1時間程続いたと思います。
ホテルの予約は岩崎に任せました。彼が使ったことのある、勝手の知ったホテルの中から探すとのことでした。
夫婦交換… 実際には今回の私の場合は『寝取られ』と言うそうですが、実行は翌週の土曜日の夜と決めたのです。
その日、岩崎は店があるのですが、後仕舞いは店員に任せるとのことでした。
ホテルの近くで夜9時に岩崎と待ち合わせしてから、一緒にチェックインすることにしました。
最後に私から岩崎に確かめました。
「岩崎さんと妻は面識が無いですから、一度、前もって会っておいたほうがいいと思うんですが」
「私は前に写真で拝見してますから当日で大丈夫ですよ。少なくとも、私の欲望を満たしてくれる女性に間違いなさそうですから」
「そうですか… でも、一応は…」
「奥様が私を相手として受け入れるかを心配されていますね。顔すら知らないわけですから当然です」
「岩崎さんが妻の好みのタイプだとは思っています。でなければ、こんな話は最初からしません… でも、やっぱり念のためというか…」
「当日お会いして、もし私が奥様の好みとする男でなかったら、遠慮なく断って下さい。」
「そうですか…」
私は今回の企てで、絶対に失敗など出来ないのです。
岩崎は男から見ても、容姿と立ち振る舞いの全てにおいて、女性が受け入れるタイプだと思います。
ただ、岩崎自身から漂うある種の「危うさ」を、平凡な育ちの妻が拒む可能性が全く無しではないのです。
そのために、事前に一度だけでも妻と岩崎を会わせ、彼女の気持ちを確かめておきたかったのでした。
「重ねて言いますが、奥様のお気に召さなかったら断って下さい。ですが…」
岩崎はそこまで言うと、口元だけで笑いながらも、私を見据える目で言葉を続けたのです。
「私も男ですから、当然、あなたの奥様を抱くためには、気に入られる駆け引きは全力でしますよ…」
私は唾を飲み込みました。
妻を寝取るために、知り合ったばかりの男が駆け引きをする…
岩崎の中にある男の性的本能が、私の倒錯した嫉妬心に火を付けるかのようでした。
他の方が同じことを言われたら、激しい怒りと憎悪が込み上げることでしょう。
しかし、私にとっては、禁断の悦楽を求めて燻り続けてきた欲望の炎に、一層燃え上がらせるために注がれた油のような言葉だったのです。
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