結局、私と岩崎は2時間程話し込んだ後、店を出ました。
私は、計画通りに願いを果たせるよう、何度もその日にすべき事を心の中でなぞりました。
まだ大切な何かを決め忘れているような気がして、落ち着かなかったのです。おそらく、初めて経験することに対する漠然とした不安が、そんな気持ちにさせるのだと思います。
岩崎と私は、店の外の小道を暫らく並んで歩きました。
「そういえば… 私は岩崎さんの個人的なことを、まだ何も知らないんですね…」
もちろん、彼と知り合ってまだ日が経ってはいませんが、自分の妻を抱く男について、知らないことが多すぎるのです。
「別に知らなくてもいいでしょう。それが大事なことだったら、とっくに川島さんの方から聞いているはずですから」
確かに岩崎の言うとおりです。
私は心の中で、彼にはあくまで「他人」として妻を抱き、愛して欲しいと思っているのかも。
夫の前で「他人」に体を差し出し、相手の欲望を受け入れる妻の姿…
「他人」と重なりあい、性欲にまみれた肉茎で体の奥まで貫かれる妻の姿…
相手が「他人」であること… それが私が思い描く願望の中にある理想の一つなのかもしれません。
かえって、岩崎の素性など、知らない方がいいのです。
大通りとの交差点で立ち止まると、岩崎は腕時計を確かめました。
「じゃあ、ここで別れましょう。ホテルの予約が取れたら私の方から川島さんへ連絡しますから」
「判りました。よろしくお願いします。」
私は手短に礼を言い、岩崎の店とは反対の方向にある駅に向かって歩き出しました。
もう、時刻は夜の10時を過ぎています。家に着くのは11時になる頃…
今日、岩崎と話した件は、出来れば今晩中に妻に話しておこうと思いました。
妻の気が変わらないうちに、積み重ねた既成事実を突き付けたい訳ではありません。彼女を追い込んで願いを叶えても、私が望む妻の姿を目の当たりには出来ないですから。
彼女には、岩崎に抱かれる当日まで、少しでも私と同じ想いで時を過ごして欲しいと思っています。
そのためにも、彼女には隠し立てなく逐一、計画を教えておきたいのです。
今迄、私1人が抱き続けた「夫婦交換」や「寝取られ」に対する憧憬を、僅かずつでも妻と共有したいですから。
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