次の日、私は仕事を早めに切り上げ、会社の近くにある公園の片隅で岩崎に電話をしました。
仕事を終えたサラリーマンやOLが道を行き交いながらも、晩秋の気配が漂う夕暮れの公園には人の気配は殆どありませんでした。
「岩崎さんですか… 川島です…」
私は言葉につかえながら相手を確かめました。
「もうすぐ川島さんから連絡が来ると頃だと思っていました。その後の奥様の様子は如何ですか」
妻とのメールで判っている筈なのに、あえて私の口から応えを求めているかのような尋ね方でした。
「後悔はしていません… むしろ…」
私は、後の言葉が続きませんでした。
「それは良かった。メールで表情は見えませんから」
「安心して下さい… 少なくとも、私は岩崎さんに感謝しています…」
暫く互いに無言のまま、相手の言葉を待ちました。
「私の目の前で川島さんと奥様が愛し合っている間、私は由香里さんを寝取られている想いでしたよ…」
岩崎の言葉は、私にとって意外なものでした。
「美しい由香里さんを愛した直後に、夫である貴方がその全てを奪い取ったのですから。貴方達にとって私は他人でも、一人の男として嫉妬します…」
彼が感じた想いが、私があの時抱いた想いと同一だとは思いません。他人と夫婦との大きな違いがあるのですから。
それでも尚、私と似た感情を岩崎が味わったことに、彼に対するある種の親近を感じたのです。
むしろ、妻を寝取った相手に対する萎縮と引け目が、彼の言葉を聞くことで優越の感情へと揺れ動いたのかも知れません。
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