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葛藤の中で【04】

駅に着いてすぐ、名刺の裏に印刷された岩崎の店の地図を確かめました。
そして周りの喧騒には目もくれず、駅に向かう通勤客の流れとは逆の方向へと歩いたのです。

大通りから脇に入った路地に岩崎の店を見つけました。
小さなたたずまいでしたが、淡い照明に照らし出されたアンティークな雰囲気と、上品な落ち着きを漂わせる店でした。

しばらく外から中の様子を窺った後、大きめの息を吸ってからドアのノブを握り、中へと入ったのです。

「いらっしゃいませ」

スーツ姿の女性の店員が声をかけましたが、私は視線を逸らすように中を見渡しました。
目で岩崎を探しながらも、何気なく手元に陳列された置物を手に取り、品定めをするふりをしていたのです。

「これはイタリア製の品で、先週、入ったばかりなんです」

店員の説明を頷きながら聞き流し、中をゆっくりと歩きました。

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岩崎は… 今日は留守なのだろうか…

「あの… 岩崎さんはいらっしゃいますか?」
私は苛立ちを隠しながら、店員の話を遮るように聞き返しました。

店員は一瞬、驚いたような顔を浮かべ、「奥の事務室にいますので、お待ちください。呼んでまいります」と店の奥の方に歩いて行きました。

私は隅にあるソファーに腰をかけ、急いで岩崎への最初の一言を考えました。

「やあ!川島さん、ようこそお越しくださってありがとうございます」

振り返ると、薄く日焼けした顔に笑みを浮かべ、伸びた背筋を僅かに折り曲げて礼をする岩崎が立っていました。

「あ… いや、こちらこそ昨日は…」

昨夜、パブの中で終始眠そうな表情をしていた岩崎とは違う、オーナーとしての風格と自信を漂わせる挨拶に対し、私の方は言葉の準備も出来ていなかったので、一瞬、しどろもどろな返事をしてしまったのです。

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服装はジーンズに黒シャツというラフなものでしたが、不思議とこの店の空気に溶け込んでいました。
私はその時になって、岩崎の黒シャツにプリントされたロゴは、この店の物であることに気付いたのです。

心の中で揶揄していた、正直に言えば小馬鹿にしようとしていた黒のシャツは、店のオーナーとしての岩崎の誇りでもあるのでしょう。

私は出足から岩崎のペースに呑まれそうな気がし、焦りを感じました。
それと同時に、頭の中に妻の顔が浮かんだのです。

「あ… いえ、仕事でたまたま近くに来たものですから、寄ってみようと思って…」

「御忙しいのに感謝します。よろしければ店の中をゆっくり御案内しましょうか」

見え透いた嘘に気付かないふりをするかのように、岩崎は私を促しました。

「川島さんの奥様へのプレゼントに、何か小物でも如何でしょう?」

前触れもなく岩崎から出た「奥様」という言葉に、私の口から出掛かった言葉が止まりました。

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「いや… あまりインテリアとかは詳しくないので… 」
「じゃあ、私も一緒に選ぶのを手伝いましょう」

妻への土産の品を、岩崎自信が選ぶことに対する憮然とした感情と嫉妬が、私の中をよぎりました。

「いえ… 今日は店に寄ってみただけですから…」

「じゃあ、 よろしければ近くの店でコーヒーでも飲みながら話でもしましょうか。ここは店員に任せておけば大丈夫ですから」

岩崎は、まるで私が来る前から予定していたかのように誘いの声をかけました。
私は昨日から抱いた諸々の懸念を振り切り、今からの出来事が妻との新しい関係を築く始まりとなることを承知したうえで、それに応じたのです。

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葛藤の中で【05】

岩崎の店を二人で出ると、歩いて数分のところにある喫茶店に入りました。
平日の夜なのに、中には客が数人だけで、私達は隅のテーブル席に座りました。

店内に流れる60年代の洋楽が、岩崎との会話を周りへ閉ざしてくれそうだなと感じると、私の気持ちやっと少しずつ落ち着いてきたのです。
彫の深い顔立ちの岩崎の目は、私の気持ちの整理が付くのを待ってくれているかのようにも思えました。

「突然、店におじゃまして驚いたでしょ」
「いえ、3日以内にお会い出来ると思っていましたから」

注文したコーヒーを飲みながら、そう確信することが当然かのように岩崎が答えました。

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「別に… 恥ずかしいことじゃないですから」
「えっ… 何がですか?」

私はこの場で、しらを切るつもりはありませんでした。
ですが、いきなり出た岩崎の言葉が、想定と異なるほどに直接的だったので、とっさに身構えてしまったのです。

「昨日の夜、貴方の言葉と態度で、胸の中のお気持ちが判りましたから…」

「私の言葉と態度で判ったって… 何が判ったんですか?」

私が問いかけると、岩崎は声を低めながら、語りかけるような口調で話を続けたのです。

「昨日の夜、夫婦交換の話が出た時、貴方は『夫婦交換が初めての方のお相手をしたことがあるんですか』って私に聞きましたよね」

言葉に詰まった私に構わず、岩崎は続けました。

「あれは、貴方が無意識のうちに自分をその夫婦に置き換えて、私に聞いたんでしょ。夫婦交換は、貴方にはとっては他人事なんかじゃなかった、だからです…」

岩崎の言葉は、まるで私を諭しているかのように聞こえました。医者の前で萎縮する患者のような心境かもしれません。今さら誤魔化すようなことは、かえって子供じみたことのようにも思えたのです。

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葛藤の中で【06】

「そのような願望は、決して恥ずかしいことじゃないですから」

岩崎の言葉に促されるように、今まで誰にも打ち明れず抑圧されたままの私の性癖が、言葉として口から出ました。

「殆ど初対面のような岩崎さんに、こんな話しをするのは非常識だとは思います。ですが…」

彼は表情を変えずに私の目を見ています。

「実は…、誰かに私の妻を… 妻を抱いて欲しいんです」

私はうつむいたまま、言葉を続けました。

「他人に愛される妻の姿が見たいのです…」

知らぬ間に口の中は渇き、心臓の鼓動に合わせるように額が汗ばんできました。

「私の見ている前で、妻を抱きしめ、愛して頂けますか」

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最後の方は、唇が震えて声がかすれる程でした。
ですが、今まで封印していた禁断の願望を、やっと他人に打ち明けることの出来た安堵感が体を包み込んだのです。

岩崎は私の自白が終わるのを待ってから、煙草に火を付けました。

「そういう奥さんの愛し方もあるんです」

装飾のない短い岩崎の言葉が、長い間行き場を失っていた私を救ってくれた気がしました。
私はカップに残っている冷めたコーヒーを、一気に口に流し込みました。

「殆ど初対面に近い私だからこそ、打ち明ける気になられたんでしょ。それに、少しは私を信頼してくれた。礼を言います」

私は、力の抜けた漂うような目線で、二本目の煙草に火を付ける岩崎の手元を眺めていました。愛する妻と交わる彼の姿が、頭の中の霧にぼんやりと浮かび上がったのです。

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川島 ゆきひと

Author:川島 ゆきひと
夫である私の見ている前で他人と体を重ね合わせ、すべてを受け入れる妻の姿…
夫である私にすらまだ見せたことのない露わな妻の姿…

30代になった私たちが寝取られや夫婦交換で体験した様々な出来事、いろんな方との出会いを、このブログに書きたいと思います。

私の詳しいプロフィールについては、こちらをどうぞ








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