思ってもいなかった妻からの過去の告白に、相手の男に対する何かの感情が込み上げるほどの冷静さはありませんでした。ですが、ありのままを受け入れるしかないことを納得し、妻に対する想いに変わりがないことを、自身に言い聞かせる他は無かったのです。
「あなたに一つだけ確かめたいことがあるの」
妻は仰向けになった私の上に体を重ね、縋るような目で見つめました。
「私があなたの見ている前で誰かとセックスして… もし、私がその相手の人を受け入れて… あなた以外の人とのセックスに感じて…」
妻はそこまで言いかけると、一瞬、息を深く吸ってから私に問いかけたのです。
「あなたはショックを受けない? 想いとは違って私を嫌いにならない?」
「ううん… それが俺の欲しい由香里の姿なんだよ… 理解出来なくてもいいから、そのことを知ってほしいんだ」
「絶対に? 想像と違って、目の前で実際にあなたの奥さんが他人とセックスするのよ」
「そうして… そうして欲しんだ…」
私に重ねた体を下ろすと、妻は並んで仰向けになりました。
二人で寄り添うように天井を眺めながら、暫らく無言のまま、空白のような時が経ちました。
妻は消え入るような言葉で、独り言のように呟いたのです。
「わかった…」
横の妻に目を向けると、いつの間にか妻は目を閉じていました。
今の応えに念を押すことが、彼女が出した決心を揺るがすのでないかと思いながらも、問いかけずにはいられませんでした。
「それは… 願いをきいてくれるってこと…」
「うん… 約束を守ってくれるなら… 絶対に私を嫌いにならないってことと、その後も今までのままだって…」
「約束する… それが出来なきゃ、こんなこと打ち明けないよ」
「うん…」
私は妻の背中から腕を廻し、自分の方に抱き寄せようとしました。応じてくれた妻への感謝や嬉しさなどからではなく、言葉に出来ないほど奥底から愛おしさが込み上げてきたからです。
「相手は… 相手は誰と? まさか私の知っている人?」
「どんな人がいい?… 由香里にふさわしい人を…」
「もう、決めているんでしょ… もう遅いから… 寝よ」
妻は腕をほどこうとしましたが、私はどうしても暫らくそのままでいたかったのです。
もしかしたら、期限より一日早い妻からの回答は、彼女自身も苦悩がさらに1日続くことに耐えれなかったからかも知れません。早く答えを見つけて、進まざるを得ない「これから」なら、先に一歩を踏み出そうと決心したのかも。
私は、何があっても妻を傷つけるような結果は出さないこと、今よりももっと深く妻を愛する礎とすることを、心の中で妻に約束しました。
他人には決して理解されない妻への愛ですが、私に出来る愛を妻に注ぐことを誓ったのです。
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