妻への告白の翌日、私は岩崎へ連絡を入れるため、会社の昼休みに外へ出ました。
正午過ぎのオフィス街は、食事をとるためのサラリーマンやOLが行き交い、他の時間帯とは違う華やかな賑わいで溢れています。
周りが静かな路地裏を探し、前に岩崎から貰ったメモに書かれている番号を見ながら、携帯電話のキーを押しました。数回のコールの後で、岩崎が電話に出ました。
「岩崎さんですか? 川島ですが、今、電話大丈夫ですか?」
傍に誰もいないのに、後ろめたさで押し殺したような私の話し方だったのでしょうか。
一瞬、岩崎は電話の相手が誰なのか戸惑ったようでした。
「あっ、川島さんね。今ちょっと取り込んでるから、折り返し電話します。本当にすみません」
「あ… い… いえ… こちらこそお忙しいところに電話して…」
私は慌てて電話を切りました。
指先が思うように動かず、携帯を落としそうになったのです。
深く深呼吸をしながら、額に手を当てました。うっすらと汗が滲んでいます。
なぜ?… 今、何を焦ってたんだ…
息苦しい圧迫感がこみ上げ、話す声がしどろもどろになってしまったのです。
私は岩崎の声を聞いた瞬間から、彼を妻のセックスの相手とし現実感を伴って意識しだしたのでした。
脳裏の奥に、私が求め欲しがっていたはずの光景が浮かんできます。
男の欲望をたぎらせ、狂おしいまでに勃起した岩崎の肉茎が妻の秘部にあてがわれ、押し開くように中に入り込んでいく…
膣の中で岩崎の茎がゆっくりと動き、妻の唇からよがりの声が漏れ、自らも腰を動かす…
それまでは、私の身勝手な欲望が描いた映像が、現実の光景となってしまうのです。
急に怖じ気づいたのか…
あれほど望んだことの筈なのに…
私は岩崎からの電話を待つ間、路地の隅から大通りを行き交う人混みを、ぼんやりと眺めていました。
それまでは、妻の気持ちがもう少し落ち着くまでは、岩崎と会う日を遅くした方がいいのかなと考えていたのです。
でも… 気持ちの整理が必要なのは、本当は自分なのでは…
欲望にまかせ、空想の中で想い描いた映像と、現実に傍らで目にする光景とでは違うのか…
もうすぐ、岩崎からの電話が来るはずです。
私は手に取った携帯を眺めながら、少し大きめに呼吸をし、冷静になるように自分に言い聞かせたのです。
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