ほどなく、手に持った携帯に着信を知らせるランプが付きました。
「岩崎です、川島さんですか。先程は失礼しました」
「いえ… こちらこそ」
私は一呼吸置いてから、ゆっくりと岩崎に昨日の件を伝えたのです。
「先日、妻に例の話をしまして… 一応、承諾をもらいました」
「そうですか… でも、本当に奥様は納得した上で了解してくださったのですか?」
「もちろんです… いろいろ経緯はありましたが」
岩崎の念を押す言葉に、その時の私は少し不快な気分になりました。
でも、今思えば、それも彼の誠実さの一つだったと思います。
「判りました。電話では込み入った話も出来ませんから… 今晩、御都合はいかがですか?」
私は最初から岩崎と会うつもりでいたのです。でも、私の焦りを岩崎に感じられたくはなかったので、少し考えたふりの間を置きました。
「じゃあ… 8時頃、この前の喫茶店に行きます。私一人でもいいですか? 妻は…」
「もちろんお一人で来て下さい。奥様にお会いする前に、川島さんに伺っておきたいことも有りますから」
今晩、岩崎と会う約束を取って電話を切りました。
彼と会って確かめたいことはたくさんあるのですが、一体、何から話せばいいのか…
岩崎と出会って以来、急に変化し始めた自分の周囲に戸惑いを感じたのかもしれません。
周りが変化したのではないだろ…
自分の意思で周りを変えようとしているんじゃないか…
そして妻だけでなく自分をも…
しかし、今さら何がしかの躊躇いを感じる理由は無いはずです。もうすぐ、恋焦がれる程に欲しかった妻の姿が見れるのですから。既に妻へ告白をした時に、心は決まったのです。
私がこれからするべきことは、妻が絶対に後悔しないための道筋を整えることしかありません。
岩崎と会うまでの時間をもどかしく思いながら、会社に向かって歩きました。
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