岩崎と合う当日、私と妻は日中は家の中で過ごし、夕方頃から出かけるための身支度をはじめました。
妻は着ていく服装に悩んでいる様子でしたが、彼女の方からは私にアドバイスを求めたりはしませんでした。他人に脱がされるための服を、彼女から夫には聞けないのだと察しました。
私は妻に、貞淑さを漂わせるような服装を着せました。今夜、岩崎と合う理由が何であれ、着衣を身にまとう間は、清楚な妻の姿を彼に見せたかったのです。
紺のブレザーと白のタイトスカート、ハイヒールは小さな金の飾りが付いたもの、下着は白に控え目のレース… 全て、私が理想とする、貞淑な妻である娼婦を演出したものでした。
そして、その一枚一枚が岩崎の手で脱がされるためのものなのです。
私はこの日のために買った避妊具を上着のポケットに入れました。
無色で薄い膜の、装着感の少ない高級品です。わざわざそれを準備したのは、少しでも岩崎に由香里の体を、直接に近い感触で味わってほしかったからなのです。
他人が自分の妻を抱くための避妊具を、夫が自ら用意する…
それまでの私には想像すら出来なかったことです。
今の私にとっては、他人が自分の妻の素晴らしさを思い知ることが、何よりも優越感を満たすことなのです。そのための準備なら何でもするつもりでいました。
二人で玄関を出た後、私は妻を外に待たせて車庫から車を出しました。エンジンをかけた瞬間、カーステレオにセットされたままになっていた妻のCDが鳴りだしたのです。私は慌ててFMに切り替えました。
妻が普段から聴いているCDの曲が、彼女の決心をかき乱すのではと思ったからです。
私は夫の顔を保ちながら、自分でも気付かない巧妙な行為の積み重ねで、徐々に妻を私の願望の世界へと陥れているのかもしれません。
車から眺める外の風景は、晩秋といえる時期に移り変わっています。
街路樹の木々も色付き、もう暫らくすればクリスマスセールが始まり、慌しさが街を埋め尽くすのでしょう。
クリスマスか…
今年はどんなクリスマスになるんだろ…
去年のあの頃を想い出しながら、私は岩崎との約束の場所へと向かったのです。
>> 体験告白や官能小説をもっと見る>> アダルトブログをもっと見る