私と由香里が家に着いたのは、正午になる少し前でした。
妻は一夜の出来事が終えたことへの安堵感からか、車の中ではシートにもたれかかり、窓から流れる風景を無言のまま眺めていました。
自宅の車庫に車を入れるとき、近所のご夫婦と顔を合わせました。
何事も無かったかのような、いつも変わりない笑みを浮かべながら挨拶を交わす妻の姿…
他人と重なり合い、淫らな喘ぎを漏らしながら体を震わせていた妻の姿…
その両方が、私の中で交錯したのです。
どちらの姿が本当の由香里なのかは、私にとって愚問にしか過ぎませんでした。
その二つともが私の願望を受け入れた妻の姿であり、自らも他人との交わりの中で愛欲を満たしたのです。
挨拶を交わしたご夫婦にとっては、昨夜、私と妻が他人と過ごした時間… 淫らで背徳にまみれた罪深い行為のことなど、想像にすら出来ない事なのでしょう。
決して世間に知られてはならない私達夫婦の秘密が作り出され、今に至るまで積み重ねられる始まりでもあったのです。
いつもと変わらない家の中の様子は、昨夜の出来事との接点すら微塵程も感じさせない、よそよそしいものに思えました。
寝室で着替えをする妻の後ろ姿を見つめながら、この家が私達夫婦をどのような想いで迎え入れているのだろうか… ぼんやりとそんな事を考えたりしたのです。
妻は疲れのためか、着替えの途中でベットに横になると、そのまま静かに眠りの中に落ちていったのです。
緊張から解き放たれ、安らぎに満ちた寝顔を見ていると、話しかけたい想いが止め処なく込み上げます。
私はその感情を押し戻して、音をたてないように寝室から出たのです。
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